12月14日、GoToトラベルの全国一斉停止が菅義偉首相から発表されました。
同日の夜、菅首相が銀座の高級ステーキ店で8人と会食をした、ということが報じられ、世間を騒がせました。
ところが、この会食に同席していたみのもんたさんの証言によると、この会食は菅首相が主催ではなく二階俊博幹事長が主催で、菅首相は二階幹事長に電話で呼びつけられただけ、ということが、後日明からになりました。
首相主催の食事会っていうんじゃないんですよ。あの日、菅さんは公務を終えて、あとは宿舎に戻って食事して寝るだけっていうから、「じゃあ時間が合うし食事していきますか」と二階さんが声をかけたってだけで。
引用:東スポWebより
そもそも一般的に立場の上下関係から考えると、幹事長が首相を電話で呼び出す、なんてことがあるのか?、と多くの人が疑問に感じたことでしょう。
本記事では、菅首相が二階幹事長の誘いに逆らえない関係になったのはなぜなのか?どんな理由があるのか?について考察しました。
菅首相と二階幹事長の関係 逆らえない理由はなぜ?
菅義偉首相と二階俊博幹事長の関係は、表面上では、(語弊があるかも知れませんが)首相が上に立ち、幹事長は首相の下で首相を支える役目です。
しかしながら、実際には菅首相は二階幹事長の言うことには逆らえないようです。
GoToトラベルの一時停止についても、菅首相はご立腹の二階幹事長に気を遣いなかなか決断できなかった、という話もあります。
なぜこうも菅首相は二階幹事長に気を遣い、いわば、逆らえないのか?
その理由を挙げたいと思います。
菅首相を誕生させた立役者は二階幹事長だから
2020年8月28日に安部前首相が辞意を表明してから、菅官房長官(当時)はしばらくの間、沈黙を保っていました。
そして、9月2日に正式に自民党総裁選に立候補することを表明しました。
その背景には、二階幹事長の存在、後ろ盾があったと言われています。
無派閥の菅さんを持ち上げ、主要5派閥の中で、真っ先に菅氏支持を表明して流れを作った
当時、自民党には7つの派閥がありました。
派閥名と勢力人数の関係は以下の通りでした。(2020年9月現在)
・麻生派 … 56名・竹下派 … 54名
・二階派 … 47名
・岸田派 … 47名
・石破派 … 19名
・石原派 … 11名
・(無派閥) … 63名
合計 395名
菅さんは無派閥でしたので、後ろ盾となる勢力は持っていませんでした。
それに対して、対立候補の岸田さんと石破さんはそれぞれが派閥の領袖(ボス)であり、数十名の勢力を既に確保しています。
つまり、岸田派、石破派を除く勢力をいかに味方につけるのか、が総裁選に勝つために必要な戦略でした。
このような状況の中で、菅さんがはじめに総裁選の出馬の意思を相談したのが二階幹事長だったようです。
そこで、二階幹事長の支持を取り付けると、二階派は石原派と共にいち早く菅さんの支持表明をしました。
この動きをきっかけに、細田派、麻生派、竹下派も菅さん支持の方向が固まり、大多数の支持を得た結果、自民党総裁=首相は菅さんで決まったようなものになりました。
つまり、菅首相の誕生は、二階幹事長の合意を得たからこそ成し得たことだった、ということです。
かくして、自民党総裁選は菅さんの勝利に終わり、菅首相が誕生しました。
二階幹事長は広い業界に強い影響力を持っているから
二階さんは幹事長職を2016年8月から務めており、その在職日数は歴代最長となっています。
(それまでは田中角栄氏の1497日が最長)
自民党内でこれだけ長く幹事長を務めあげるだけでもかなり広い範囲に影響を持っていることが分かりますが、それだけではありません。
幹事長以外、つまり自民党の外においても、大きな影響力のある経歴の持ち主でもあります。
二階幹事長の意向次第で、物事の決定が大きく変わる可能性がある、ということです。
やはりそのような人物の意向というのは、菅首相にとって無視できないものとなるのは容易に想像できます。
ここで、二階幹事長が要職を務めている業界団体を挙げてみます。
観光業界
二階幹事長は過去に運輸大臣を2回務めたことがあり、今も全国旅行業協会の会長を務めています。
全国旅行業協会は、言わずもがな、GoToトラベルと最も関係が深い業界です。
二階幹事長は「観光業界のドン」と言われています。
GoToトラベルを止める、という決断を下すにあたって、菅首相が二階幹事長に気を遣わないわけがありません。
建設業界
二階幹事長は経済産業大臣も務めた経験があります。
また、国土強靭化を掲げて全国防災事業を推進し、「建設族のドン」と言われています。
農業土木業界
さらに、全国土地改良事業団体連合会の会長を務めており、「農業土木のドン」と言われています。
【まとめ】菅首相と二階幹事長の関係 逆らえない理由はなぜ?【分かり易く解説】
菅首相が二階幹事長の関係から、菅首相が二階幹事長に逆らえない理由についてまとめました。
菅首相の誕生時には、二階幹事長の後ろ盾があってこそ、自民党内の主要派閥が菅さん支持に回りました。
また、二階幹事長は歴代最長の幹事長職歴を持ち、自民党内に幅広い影響力を持つだけではありません。
党外部に対しても、政策決定、実行にあたって大きな影響力を及ぼす団体との深い繋がりがあります。
二階幹事長は、環境業界のドンであり、建設族のドンであり、農業土木のドン、でもあります。
これだけ広い人脈、業界に影響力のある人物は、自民党の票も資金も大きく動かす力を持っている、ということです。
菅首相が二階幹事長に逆らえないのは、立場や役職ではなく、このような背景による力関係そのものの表れだということになりますね。
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